今回は 2025年8月26日公開のオプションプレビュー更新「KB5064080」 を徹底解説します。
本更新は「セキュリティ以外の修正と機能強化」が中心で、組織向けWindowsバックアップの一般提供が目玉。急ぎで入れる必要はありませんが、新機能を試したい方・企業で事前検証したい方には有用です。
一方で、インストールが進まない/失敗する/終わらないといったトラブルは付きもの。この記事では、不具合の要点→導入判断→安全な適用と削除→原因別の直し方まで、表と手順でわかりやすくまとめました。
この記事の結論(先に要点)
テーマ | 要点サマリ |
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更新の位置づけ | オプションのプレビュー(セキュリティ含まず)。パッチチューズデーで取り込まれる見込み。急ぎでなければ待機も可。 |
新機能/改善 | 組織向けWindowsバックアップが一般公開。エクスプローラー表示不具合修正、SMB over QUIC遅延改善、Copilotキー信頼性など。 |
既知の問題 | KB5064080自体の既知不具合は公式報告なし。ただし8/13以降の別更新影響でAutoCAD起動問題の報告あり(後述の回避策参照)。 |
導入判断 | 個人:様子見でもOK。早く試したい人はバックアップの上で適用。企業:先行検証→段階展開が鉄則。 |
トラブル対処 | 再起動→容量確保→トラブルシュート→DISM/SFC→Updateリセット→クリーンブート→手動適用の順で。削除手順も用意。 |
KB5064080の概要と注目ポイント
ポイント:組織向けバックアップは、ユーザー設定・資格情報・個人ファイルの復元体験を底上げ。新PCやAI PCへの移行がスムーズになります。
既知の注意点&関連トピック(AutoCADの件)
公式にはKB5064080単体の既知の不具合は公表なし。
ただし、**2025/8/13以降の他更新(例:KB5063878、KB5063709 等)**に起因して、AutoCAD 2022–2026系(Civil 3D含む)で起動時にUAC要求が出る/起動しない事例が報告されています。
該当ユーザーは、先に業務影響の回避(回避策or様子見)を優先。KB5064080適用はその後でも遅くありません。
どのユーザーが今入れるべき?導入判断チャート
インストール手順(Windows Update/手動)
Windows Updateから(推奨・簡単)
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設定 → Windows Update
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「オプションの更新プログラムが利用可能」内の KB5064080 を選択
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ダウンロードとインストール → 再起動
手動(オフライン/失敗時の代替)
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Microsoft Updateカタログで「KB5064080」を検索し、OS/アーキ(x64/ARM64)に合う .msu を取得
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ダブルクリックで適用、または管理者で以下を実行:
インストールが進まない/失敗/終わらない:原因別の直し方
まずは“基本セット”
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再起動(2回)
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空き容量20GB以上確保(設定→ストレージ)
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VPN/プロキシを切断、不要USB/ドックを外す
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Windows Updateトラブルシューティング
設定 → システム → トラブルシューティング → その他 → Windows Update
修復コマンド(中級)
管理者権限で実行 → 再起動 → 再試行
Updateコンポーネントを“リセット”
クリーンブートで競合排除
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msconfig
→ サービス →「Microsoftのサービスをすべて隠す」→すべて無効 -
併せてスタートアップ無効化(タスクマネージャー)
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再起動→適用→元に戻す
代表エラーコードと対処の目安
もしもの時の削除(アンインストール)と注意点
KB5064080は SSU(サービススタック)+LCU(累積更新) の統合提供。SSUは削除不可、戻せるのはLCU側のみです。
GUIで戻す(推奨)
設定 → Windows Update → 更新の履歴 → 更新プログラムをアンインストール → KB5064080 を選択 → 再起動
コマンドで戻す
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WUSA(簡易)
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DISM(上級・パッケージ名指定)
起動できない場合(回復環境)
自動修復 → トラブルシューティング → 詳細オプション → 更新プログラムのアンインストール →
最新の品質更新をアンインストール
適用前の安全チェックリスト
企業・IT管理者向け実務ポイント
FAQ(よくある質問)
Q. 今すぐ入れるべき?
A. セキュリティは含まれないため様子見も正解。試したい方はバックアップの上で適用を。
Q. 失敗を繰り返す時の順番は?
A. 再起動→容量確保→トラブルシュート→DISM/SFC→Updateリセット→クリーンブート→手動適用。
Q. AutoCADが起動しない…
A. 8/13以降の更新影響の可能性。一時アンインストールまたはDisableLUAInRepairの暫定回避(必ず自己責任/後で戻す)。
Q. 削除したらセキュリティは大丈夫?
A. 本更新はオプションでセキュリティを含まない。ただし今後の累積更新で再適用されるため、その時点での安定版を使いましょう。
備えて試す。だめなら静かに戻す。
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KB5064080は組織向けバックアップなどの使い勝手改善が中心。
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既知の不具合は公式報告なしだが、他更新との組み合わせでAutoCAD系の注意点あり。
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迷ったら様子見、試すならバックアップ&復元準備を。
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トラブルは本記事の段階フローで多くが解消可能。最悪はLCUのアンインストールで静かに戻せます。
あなたの環境・業務に合わせて、賢く安全にアップデート運用していきましょう。
まとめ|KB5064080を安全に活用するために
2025年8月26日に公開された「KB5064080」は、Windows 11 23H2向けのオプションプレビュー更新であり、セキュリティ更新を含まない品質改善が中心です。最大の注目点は、組織向けWindowsバックアップ機能が一般公開されたことで、企業のデバイス移行や復元体験を大幅に改善できる点にあります。また、エクスプローラーの表示不具合修正、SMB over QUICの遅延改善、Copilotキーの安定化など、日常利用に直結する細かな修正も含まれており、快適性と安定性が一歩前進しました。
一方で、公式にはKB5064080単体の既知の不具合は報告されていませんが、同時期に配信された別の更新(KB5063878やKB5063709など)が原因で、AutoCAD 2022〜2026の起動トラブルが報告されています。業務で利用している方は、この関連不具合を考慮し、適用を慎重に判断する必要があります。
もしインストールが進まない・失敗する・終わらないといったトラブルに直面した場合でも、段階的な解決策があります。再起動や空き容量確保、Windows Updateトラブルシュート、DISMやSFCコマンドによる修復、クリーンブート、手動インストールといった手順で多くは解決可能です。最悪の場合でも、LCU部分のアンインストールで元に戻せるため、過度に不安を抱く必要はありません。ただしSSU部分は削除できないため、この点は注意が必要です。
結論として、KB5064080は「急いで入れる必要はないが、試す価値はある更新」です。個人ユーザーは来月のパッチチューズデーを待って適用しても十分安全ですし、新機能を早めに体験したい方や企業のIT部門は、バックアップを取った上で検証的に導入するのが現実的でしょう。
最も重要なのは、更新前にバックアップや復元ポイントを準備すること。これさえ整えておけば、不具合が起きても冷静に対処でき、安心してWindows環境を最新に保つことができます。